…誰に、何を謝ればいいんだろう。

こんなこと、許されるわけないのに。

…もう、わかんないよ。

ー「そんなことしたって、
  何も伝わんねぇよ」

フラッシュバックする、その声は未だに
耳に残ったまま。
 
痛くて、しょうがない。

白鷺由宇の言ったことは寸分の狂いなく
正しかった。

分かりきっていた、事実だ。

ー…その日、一人で夜の空を見上げて
  静かに声を殺して、泣いた。

『……っ、う……ぁ……』

頬に、雫が伝っては、落ちていく。

胸が、心が、痛くて、苦しい。

口の中が、塩の味で、満ちていく。

誰にも、言えなかった気持ち。

届いてほしくて、捨てきれなかった気持ち。

隠して、誤魔化して、逃げていた気持ち。

ー今日は、綺麗な満月だ。

…あのね、私…っ、ずっと前からしーくん
に伝えたかったことがあるんだよ。

今だけ、言葉にするのを許してくれる?












『…しーくんっ、月が、綺麗だよ…』















ー…壊れるほどに、キミを想う。