一期一会。−1−

パラパラと砕かれたGPSを地面に落とした
ソウ君は、何事もなかったかの如く、
また車へ戻っていく。

私は、落ちていくGPSを複雑な面持ちで
眺めていた。

「帰ろうぜ、送る」

『…うん』

なんだか、今日は眠れる気がしない。

すれ違いざまにGPS取り付けるとか
プロの探偵かよ…。

あの男が何者かは気になりはするけど、
知りたいとは思わない。

直感でしかないけど、聞かないほうが良い
と思った。