…俺は、あの時、離れていてもずっと
幼なじみでいたいと思ってた。

ー「二度と、顔見せんな」

でも、時雨は傷つき、聞く耳を持たずに
関係を切られてしまった。

…俺も、自分勝手なことしたし、
嫌われても当然なのかな。

ただ、あの頃みたいに戻れないことが
悲しかった。

そして今、愛は、時雨のために、自己犠牲を払っている。

「…私は葵のことが、好き。

 少しでいいから、側にいてよ」

『…愛』

そんなせつなそうな顔するくらいなら、
告白なんてしなきゃいいのに。

ギュッと、抱き着いてくる愛の声は
今にも泣きそうだった。

俺は、昔から愛に甘い。

甘えてくる愛が、妹みたいにかわいくて
拒めなかった。

…でも。

俺は、好きな子がいる。

その子を見つけるために、青火にやって
きた。

そして、彼女を見つけた。 

心から、好きだと思った。

その子と、愛を天秤にかけるなら。

俺は…。