…だけど、中3になってから。

葵は、夜の街に出る度に、誰かを探すかのように、あちこちに目を配るようになった。

そして、時々、妙に苦しそうな顔をする
ことがあって。

少しずつ、日常が、日常でなくなっていく
気配がした。

冬になって、進路希望調査も終わった頃。

そろそろ行きたい高校の入試も近くなってきたある日。

3人でいつも通り帰っていた、途中で。

俺達の仲は、唐突に引き裂かれた。

ー「葵はどこに行くの?」

ー「勿論、翡翠だよな?」

以前、秋に進路の話をしていたときは、
翡翠高校だと皆思っていた。

俺と愛は、家から近い翡翠高校に行こうと
既に決まっていた。

勿論、葵も同じところを目指していると
思い込んでいた。

愛の質問に、葵は、前を向いたまま、
表情を変えずに驚くことを言った。

ー「…俺、青火高校に行く」

一瞬、聞き間違いかと思った。

ー『は?』

ー「え?」

俺と愛は、絶句した。