『ふふっ、葵の弱点みーっけ』

上機嫌に独りごちる。

こんな気分が良い日ってないな。

ショッピングモールからの帰り道。

浮足立つ俺の顔は、きっと酷く邪悪に
歪んでいるだろう。

周りに人がいないから、別にどうってこと
はない。

ウサギの人形を無くしたときは、本気で
焦ったけど、そのおかげでいい情報を
得られて、一石二鳥だった。

あんなところで、葵達と遭遇するとはね。

ー「彩羽ちゃん!」

久々に会った、かつての幼なじみは、
たった一人の女のために怒る恋愛脳をもつ
男に変わっていた。

正直に言うと、ムカついた。

葵のことも、女のことも、葵といる連中の
ことも、全部。

…何だよ、俺と、愛といたときは、
喧嘩だけだったくせに。

さっさと俺達を捨てて、変わっていくなんて
ありえない。

思い出すだけで、怒りがわく。

…アイツは、俺と愛を裏切ったんだ。