『いはい!』

不満が顔に出ていたらしく、怒りマークを
浮かせた氷室さんに、両頬をつねられる。

「あ、やわらか」

もにもに、と怒りを忘れて、ほっぺを
伸ばしては縮めてを繰り返す。

痛いって言ってんだろ!

「かわいー、ハムスターみたい」

「餅かよ」

この人達はふざけてるの?

もう怒ってないなら、いい加減離してくれ。

「…はぁ、よりによって時雨と…」

『…?』

時雨って…イケメンさんのこと?

私の頬から手を離して、氷室さんは、
心配そうに首を傾げる私を見つめてきた。

「時雨とは、幼なじみだった。

 でも、アイツとは道を違えてから、
 対立してるんだ。

 今は、トップ同士で、仲も最悪」

明かされた事実に、びっくり。

『…トップ??』

道を違えた、というのも、どういうことか
気になるが、問題はそこ。

トップ同士…?

そこでやっと、あのイケメンさんが
言いかけたことが何か理解した。

ー「翡翠高校のー…」

そういうことね…。

って、いや、どういうこと?!