一期一会。−1−

『そ、ソウ君?!』

ええぇ、まさかの!?  

どうやって私がここにいると分かったんだ!

ソウ君って、エスパーか何かですか?

めっちゃタイミング良すぎる。

やっと家に帰れる!と安心している私に
ソウ君は顔をしかめていた。

やだ怖い、せっかくイケメンなのに。
 
「なんで、あの路地にいなかったんだ」

ぎくり。

『え、えっと…それはその…』

当然すぎるお叱りに、私は先程あった事を
思い出して冷や汗を流す。

目まで泳がせて、本当にアホだと思う。

どもる私はどうみても挙動不審。

察しのいいソウ君に一瞬で見抜かれた。

「…お前、なんかあっただろ?」

…デスヨネ。

秒でバレて問い詰められる始末。

もう今日は本当に勘弁してください…。

あの謎のイケメンといい、ソウ君といい
観察眼が鋭すぎだよ。

隠したところで無駄だとわかっている
から、素直にあったことをそのまま
話すと、ソウ君はどこか面白そうに
笑みを浮かべだす。

…え、今の話で何か面白いことあった?

なくない?むしろ、怖すぎない?

「…なるほどな、アイツの仕業か。

 俺の計画を見通してくるとは、
 なかなかやるな」

一人でブツブツ言ってるソウ君に、
私は首を傾げる。

「こっちの話だ。

 …それより、ちょっとこっちに来い」

『え…うん』