一期一会。−1−

…なんでだろ、安心できない。

逃げられたはずなのに、嫌な予感は
消えてくれなかった。

むしろ、彼と離れるだけ強まっていく。

…どうか、気のせいでありますように。

直ぐに前を向けた私は、彼がクスリと
含み笑いをしたことに気付かなかった。

「またね、“王蝶”」

彼が、そう呟いたことにも。

これが、全ての始まりであったこと
にも…ー




タタッとしばらく走っていたら、見知らぬ
大通りに出た。

…って、そういえば、路地から離れちゃったけど、大丈夫かな?!

今更、ソウ君の言葉を思い出して足を
止める。

も、もしかしなくても、私…迷子?

ソウ君の言葉にふくれていた私を
殴りたい。

言葉通り、迷子になってるよ?!

もう一度電話したほうがいいよね!?

そう思ったとき、タイミング良く隣に
車が止まった。

そして、窓が開き、ソウ君が現れる。