一期一会。−1−

淡々と述べつつ、ジリジリと距離を
詰めてくる彼に、ますます困惑する。

あ、あれ?!

なんで私、追い詰められてんの?!

「君…何か隠してるよね?」

その瞳は、私を射すくめて、逃さない。

にっこり笑顔が逆に不気味で仕方ないわ!

ひぃい、何この人、怖っ!

無駄に鋭いし、オーラ黒いし。

うぇえん、早くソウ君来てぇ!

『ぼ、僕は…っ!』

ボイスチェンジャーのおかげで、何とか
今の姿をキープできてるけど。

これ以上、近付かれて、踏み込まれたら、
フードを捲られかねない。

身バレ=死なのに!

これは、もう…逃げるしかない!

手が届く範囲まで、ゆっくり歩み寄って
くる謎のイケメンの隙を伺う。

その手が、そっと私のフードに触れようと
した時ー…。

(今だ!)

ヒラッと軽い身のこなしで、手を避けると
彼の横を颯爽と通り抜ける。