一期一会。−1−

「…あ、いらっしゃい。
 今日はどうしたの?一人?」

久々の来訪だったからか、亮さんは、
若干驚いた様子で出迎えてくれた。

『…はい』

店内には、亮さんだけだった。

残念な気もしたけど、このカフェにいる
だけで落ち着ける。

亮さんは、私の表情が曇っていることに
気付いたのか、眉を下げて優しく
「お席へどうぞ」とエスコートしてくれた。

「来てくれて嬉しいよ。
 何か注文する?」

『…じゃあ、チョコレートケーキで』

今食べるなら、それしかない。

私の注文に、亮さんは小さく笑った

「ふ、チョコレートケーキ大好きだね。
 了解、すぐに持ってくる」

待っててね、と言い残して、厨房の方へ歩いていく。

二人は来てないか…、いきなり思いついて来ただけだし、仕方ないよね。

とりあえず、美味しいものでも食べて
落ち着こう。