一期一会。−1−

帰って、ご飯作って食べて、お風呂入って
寝て、学校行って…。

永遠と続く単調なルーティンが、虚しい。

このままじゃ、きっと、堕ちていって
しまう。

どうにかしなければ、手遅れになる。

…そう思ったとき、一つだけ、閃いた。

…“ドルチェ”に行けば、二人と会えるかも
しれない。

あくまでも、期待に過ぎないけれど。

気付いたら、足が動いていた。

どうしてなんだろう。

今まで、考える前に動くことなんて、
無かったはずなのに。

どうしてかな。

ー「彩羽ちゃん」

どうしてか、温かいあの人達に、無性に
会いたくなった。

カフェに着いたときには、すっかり
息が上がっていた。

無駄足かもしれない。

意味のない行為なのかもしれない。

…それでも、私はここに来た。

深呼吸して、整えた後、中へと入る。

カランコロンという音と共に、店内に
足を踏み入れた。