…一体、ソウ君はどんなお仕事をして
いるんだろう?

いつも、ソウ君は自分のことを話さない
から、不安になることがある。

「彩羽も、いよいよ受験生か…。
 高校どこに行くか決めたか?」

唐突の進路話に、息が止まりそうになる。

き、急に変化球はやめてよ…。

…進路、か。

世の受験生の大半はこの話題が苦手だろうけど、私も大の苦手。

基本的に、放任主義なソウ君も、
ここは聞かなければならないところ
なのだが。

兎にも角にも、ノープランな私は
黙り込む。

高校に行くの、嫌なんだよね。

中学で楽しくないなら、高校もきっと
楽しくないだろう。

てか、楽しむ気がそもそもないし…。

『…考えてない』

まだ、真っ白なままの進路希望調査の
紙が鞄の中に押し込められている。

小さく、呟くように言えば、ソウ君は
「そうか…」と悩ましげに返してきた。