奥薗彩羽と出会って、俺は内心驚いて
いた。

…探すまでもないってか。

黒髪が美しく、華奢で綺麗な顔付きを
した美少女が、葵のお気に入りだったとは。

青火高トップの葵とは仲がいい。

なぜなら、俺は葵と同じく四天王の一人で赤城高校のトップだからだ。

入学してすぐに、偶然夜の街で出くわし、
絡むようになった俺は最近とある噂を
耳にしていた。

《青火高トップの“凍華”には女がいる》

最初聞いたときは冗談だと一笑に付した。

そして、絶対にありえないと確信していた。

…だって、あの筋金入りの喧嘩バカが
女とか…ないだろ。

出会った頃なんて、「女に構ってる暇
はない」とか抜かしたくらいだ。

生まれながらの美貌をゴミ箱に捨てたようなイメージ。

世の男達が聞いたらリンチにでもされ
かねない。

こいつは、残念系の美形だと思った。