一期一会。−1−

やめてよ、と言いかけて、いえなかった。

優しさと厳しさが、そっと胸に染みた。

…ねぇ、なんで?

それが、どうして、お兄ちゃんの手と
重なるの…ー?

私は、気付けば一筋の涙を流していた。

バレないように、拭いて顔を上げる。

ー『私に、喧嘩を教えて下さい』

強く、なりたいと思った。

強くなって、いつかきっと、兄を見返して
みせる。

そのためには、この人に習って強くなって
やろう。

この人なら、絶対導いてくれる。

なんの保証もないのに、確信していた。

真っ直ぐに、ソウ君を見上げれば、
ギョッと肝を潰していた。

ー「お前、本気か?」

そう言われても、仕方がない。

私は、小学生、力もない、弱虫。

だけど、今日この日をもってやめようと
思った。