一期一会。−1−

私には、やっぱり、お兄ちゃんしか
いなかったんだよ…。

今までは、そのことをなんとも思わなかった。

…思わないように、していた。

口に出したことで、急に寂しさや虚しさが
わいてきて。

ー「二度と近付くな」

こんなときに、あの言葉を思い出すから。

じわっと、視界が歪み、咄嗟に腕で
顔を隠す。

私は、お兄ちゃんにも見捨てられた
ダメ人間なんだ。

…どうして、知らない人の前で、
取り乱しているのか分からなかった。

…でも、何でかこの人といると、安心
する。

…私は、あの日からずっと、私のことを
大切に想ってくれる人が、一人でも
そばに欲しかった。

ー「…泣くな、泣いたらもっと
  キツくなる。
  強くいろ、お前自身のために」

ソウ君は、そう言って、力強く私の頭を
撫でた。

わしゃわしゃと髪を乱されて、その力強さに俯く。