一期一会。−1−

ポツリ、とそう呟けば、王蝶の手が止まり
葵を離した。

王蝶は、フードを被ったまま、読めない
表情で語る。

「…僕は、正体を隠して活動している。

 だから、本当はバラしたらいけない」

棘のある口調は、おそらく口が軽い葵に
向けられている。

僕!?

正体を隠すために性別まで変えてるの?!

でも、その声…両生類?

……いや、ボイスチェンジャーか。

結構重そうな事情をもつ王蝶…もとい、
彩羽ちゃんは仕方ない、と言いたげに
溜息を吐いて。

フードの中をゴソゴソと探ると、
カチッと何かのスイッチを押す。

ん?何の音?

「桃李さん、私は…奥薗彩羽は、
 王蝶です」

昼間とは違い、はっきりとした言い方で
告げられた。