一期一会。−1−

流石に傷ついたか、苦笑する葵。

「まぁまぁ、とりあえず移動しようよ。
 壮太さんには連絡した?」

葵は、交渉がうまい。

王蝶は、苦々しく言う。

『…まだだけど。
 するから、先行ってて、邪魔』

「“terrace”?」

『…分かってるなら、さっさと行って』

心底嫌そうなのは伝わってきたが、
葵の粘りに折れたのか、王蝶は投げやりに返して僕達に背を向ける。

その背中は、僕達を明確に拒絶していた。

緊迫した空気は残ったままだが、
話は終わったらしい。

はぁ、寿命が縮んだ。

安心して胸をなでおろす僕に葵はにこやか
に言った。

「じゃ、そういうことで、バーに行こう」

『また移動するの?!』

しかも今度はバー!?

行きたくない!と目で訴える僕に、葵は
無言で背中を押す。

………帰らせてほしい。