一期一会。−1−

「ついてきて」

さり気なく僕の分も一緒に支払ってくれた紳士の葵は、楽しげな表情に切り替えて
僕の前を歩いていた。

夜は、とても暗くて、静かで、物悲しい。

治安が悪いため、一般人が全くいない道を
二人で歩く。

こいつ…僕を、どこに連れて行く気?

葵は、キョロキョロとなにかを探して、
人通りがなく、いかにも不良がたむろっていそうな路地裏に入っていく。

はぁ!?何してんのアイツ!

わざわざケンカしにいくつもり? 

あわてて止めようとその後に続くと、
葵は路地裏に入ってすぐのところに
立っていた。
 
「ビンゴ」

パチンと指を鳴らして、微笑む葵。

『?何見てんの?』

「見る?」

葵は、サイレント拍手をしながら、
目の前の光景をただ見ていた。