そして、私を真っ直ぐに見て、
とびっきりの笑顔をくれた。

「ありがとう、あやっ!」

『っ!』

…可愛いが過ぎる。

「あやの話に救われたし、すっごく
 嬉しかったよ」

ハンカチ洗って返すね、と付け足す
桃李さんに私はただ、びっくりしていた。

…私の言葉に、桃李さんは救われたの?

ありがとう、なんてソウ君以外の人に
言われたことなど一切無くて、初めてに
近い感覚が胸をギュッと掴んで話さない。

…これが、“嬉しい”って感情?

私は、桃李さんのためにやれるだけ
やれたんだな。

中学もまともに行けてなくて、ソウ君
以外を不信の目で見ていた私にとって
得難いものだった。

桃李さんは、氷室さんは、亮さんは、
心がとても、温かい人達。