一期一会。−1−

これが、そういう感情なのか。

『…楽しい』

私、楽しいんだ。

小さく声に出た気持ちは、紛れもなく
本心そのもの。

“王蝶”の姿だったら、絶対言えないし、
認めれないようなことでも、この姿では
嘘みたいにスルスルと出てくる。

「…そっか、それは良かった」

私の一言に氷室さんは、僅かに顔を
赤らめて、心から嬉しそうにはにかんでいた。

…ドキッとなんて、してないから。

…あのね、氷室さん。

そんな表情、私なんかに向けちゃだめだよ。

もっと、氷室さんが大好きな、お似合いな
子に向ける顔ですよ、それ。

勘違いしちゃう行動は、お控え下さい。

何だか照れくさくなってきて、私はその後
静かにケーキを待つことにした。

数十分後、亮さんが、トレーにケーキを
2皿載せて私達の席にやってきた。