一期一会。−1−

氷室さんが、亮さんは、世界的にも有名なパティシエなんだと教えてくれた。

そして、このカフェ“ドルチェ”を一人で
切り盛りしているオーナーなのだとか。

へぇ、そんなすごい人が[美郷]にいる
んだ。

すっかり感心していたら、ニヤニヤ笑い
ながら氷室さんに茶々を入れる亮さん。

「何々、葵、オレのこと褒めてんの?」

どうやら満更でもなく嬉しいらしい。

そこは普通にありがとうで済ませれば
いいのになぁ、なんて独り言。

「まぁね、実際うまいし」

氷室さんは、照れる様子もなくべた褒め。

なんとまぁ、素直な人だろうか。

「一生このケーキ食べれるくらいは
 おいしいよ」

「…お、おう」

おおっと。

亮さんは、氷室さんの無自覚褒め殺しに
照れを隠せないご様子。