一期一会。−1−

女子からの視線を総なめしている当の本人
は全く気に留めておらず、前を真っ直ぐ
見て歩いていた。

余裕だな、流石モテ男。

「あ、もうすぐ着くよ」

『…どこにですか?』

「ふふ、俺のオススメのカフェ」

……かふぇ?

歩くこと数分、氷室さんオススメのカフェ
に着いた。

外観は、レトロな雰囲気でレンガ造りなのがまた年季を感じさせるものだった。

名前は、“ドルチェ”。

恐らくドイツ語で、意味は確か…
《甘い菓子》だったっけ?

うろ覚えの知識をフル活用。

へぇ、氷室さんってこういうところが
好きなんだ。