大嫌いの先にあるもの

「ねえ、どういう関係?」

さらに愛理さんに聞かれる。
なんでこんなに興味を持たれてるんだろう?

ただの地味な大学生に華のある愛理さんが興味を持つなんて。

「ねえ、どうして黙ってるの?答えられないの?」

「強いて言えば、雇用主と従業員という関係でしょうか」
愛理さんが笑みを浮かべる。

「答えてくれないのね。まあ、いいわ。これからゆっくりと探るから」

「愛理さん、新人をいじめるのはよくないですよ」

宮本さんが白いカクテルを愛理さんの前に置いた。

「いじめてないわよ。仲良くなろうとしてるんじゃない。ねえ」

愛理さんが目を合わせてくる。
曖昧に頷いた。

「私、このカクテル好きなの。マルガリータって言うのよ」
「え、マルゲリータ?」

愛理さんがクスっと笑った。

「それはピザでしょう。マルガリータよ」

クスクスと愛理さんが笑い続ける。

マルゲリータとマルガリータは別物か……。
恥ずかしい……。

「まあ、あなたに言っておきたい事は一つよ」

笑いを収め、愛理さんが厳しい表情を浮かべた。

「オーナーを好きになっちゃダメよ。圭介は私の物なんだから」