ステージに近づく程、人口密度が増える。
楽し気に踊る人々の間を縫うようにステージに向かった。

春音は音楽に合わせて腕を上げたり、激しく腰を動かしたり、ジャンプしたりしていた。

愛理よりも悪目立ちしている。
大量にアルコールを摂取して、激しく動き回るなんて、絶対に気持ち悪くなる。

「春音、春音」

ステージの側で声をかけるが全く気付かない。

「圭介、来たの?」

春音のそばにいた愛理がこちらに笑顔を向けた。

「彼女を止めろ!」

春音を指して言った。
僕の指示を受けて、愛理が春音に近づいて、耳元で囁く。

春音がこっちを見て無邪気に笑った。
それからいきなり、グランドピアノの上に乗った。
そして天板の上でジャンプしたりと激しく踊りだす。

相沢が見たきらきっと切れる。
あれはニューヨークの老舗メーカーの物だ。

確か、一千万円ぐらいしたんじゃなかったか……。

頭が痛い。
相沢の留守中になんて失態だ。