「おばあちゃん、手伝う事ある?」
おそるおそる声を掛けると、おばあちゃんが手を止めてこっちを見た。
「じゃあ、レモン出してくれる?野菜室に入ってるから。あ、黒須さんは紅茶は好きだったかしら?コーヒーの方が良かった?」
おばあちゃんが普通に話してくれた事に胸が熱くなった。
「春音、どうしたんだい?」
じっとおばあちゃんを見ていると心配そうに言われた。
口下手な私を小さい頃からいつも気遣ってくれていた事を思い出して、さらに目がうるうるする。
「う、うん、何でもない。レモンね」
冷蔵庫の方を向いて、こっそり涙を拭った。
レモンを渡すとおばあちゃんは綺麗な輪切りにしてくれた。紅茶に添えてくれるんだ。私がレモンティー好きだから。
「頂いたカステラを出した方がいいかしら、それとも百合子が持って来たケーキを出した方がいいかしら」
おばあちゃんが迷ったように言った。
「お母さん来たの?」
「さっきまでいたのよ。春音はどうしてるって様子を聞きにね」
「お母さんが?」
「あれでもあんたの事、気にかけてるのよ。ケーキもね、今日春音と黒須さんが来るって言ってあったから、表参道にある有名なケーキ屋で買って来てくれてね。年寄りじゃ、ろくな物を用意できないと思ったんだろうね」
おばあちゃんが嬉しそうにクスクス笑った。
お母さんにそんな気遣いが出来たなんて知らなかった。
黒須の事を悪いやつだって決めていた時のように、お母さんの事も悪い部分しか見えていなかったのかもしれない。
「ケーキもカステラも出そうよ」
「そんなに食べられるかい?」
「うん。私が食べる」
「あいかわらず春音は甘い物に目がないね」
おそるおそる声を掛けると、おばあちゃんが手を止めてこっちを見た。
「じゃあ、レモン出してくれる?野菜室に入ってるから。あ、黒須さんは紅茶は好きだったかしら?コーヒーの方が良かった?」
おばあちゃんが普通に話してくれた事に胸が熱くなった。
「春音、どうしたんだい?」
じっとおばあちゃんを見ていると心配そうに言われた。
口下手な私を小さい頃からいつも気遣ってくれていた事を思い出して、さらに目がうるうるする。
「う、うん、何でもない。レモンね」
冷蔵庫の方を向いて、こっそり涙を拭った。
レモンを渡すとおばあちゃんは綺麗な輪切りにしてくれた。紅茶に添えてくれるんだ。私がレモンティー好きだから。
「頂いたカステラを出した方がいいかしら、それとも百合子が持って来たケーキを出した方がいいかしら」
おばあちゃんが迷ったように言った。
「お母さん来たの?」
「さっきまでいたのよ。春音はどうしてるって様子を聞きにね」
「お母さんが?」
「あれでもあんたの事、気にかけてるのよ。ケーキもね、今日春音と黒須さんが来るって言ってあったから、表参道にある有名なケーキ屋で買って来てくれてね。年寄りじゃ、ろくな物を用意できないと思ったんだろうね」
おばあちゃんが嬉しそうにクスクス笑った。
お母さんにそんな気遣いが出来たなんて知らなかった。
黒須の事を悪いやつだって決めていた時のように、お母さんの事も悪い部分しか見えていなかったのかもしれない。
「ケーキもカステラも出そうよ」
「そんなに食べられるかい?」
「うん。私が食べる」
「あいかわらず春音は甘い物に目がないね」



