イントロを聴いて耳が反応する。
『Lullaby of Birdland』
美香ちゃんがよく弾いていた曲。
曲を聴いた瞬間、我慢していた涙がじわりと浮かんだ。慌てて人差し指で拭うけど、次々と雫が流れた。
「どうぞ」
隣に座っていた相沢さんが、ハンカチを差し出してくれた。
「すみません」
受け取ったハンカチを目元に当てる。
今はめそめそと泣いている場合じゃないのに。
タクシーのカーステレオから流れたその曲は美香ちゃんからのメッセージのような気がした。
「黒須と両想いになってから、本当はずっと後ろめたかったんです」
「後ろめたかった?」
「美香ちゃんです。美香ちゃんは私たちの事を祝福してくれるかわからなくて」
相沢さんが静かに息をついた。
「ロスに来てわかりました。これは罰なんだと。やっぱり美香ちゃんの好きな人を好きになったらいけなかったんです。人の旦那さんを好きになっちゃ……。だから美香ちゃんが私に罰を……」
「罰ではなく試練なのでは?」
思いもよらなかった言葉にハンカチから顔を上げると、相沢さんが微笑んだ。
『Lullaby of Birdland』
美香ちゃんがよく弾いていた曲。
曲を聴いた瞬間、我慢していた涙がじわりと浮かんだ。慌てて人差し指で拭うけど、次々と雫が流れた。
「どうぞ」
隣に座っていた相沢さんが、ハンカチを差し出してくれた。
「すみません」
受け取ったハンカチを目元に当てる。
今はめそめそと泣いている場合じゃないのに。
タクシーのカーステレオから流れたその曲は美香ちゃんからのメッセージのような気がした。
「黒須と両想いになってから、本当はずっと後ろめたかったんです」
「後ろめたかった?」
「美香ちゃんです。美香ちゃんは私たちの事を祝福してくれるかわからなくて」
相沢さんが静かに息をついた。
「ロスに来てわかりました。これは罰なんだと。やっぱり美香ちゃんの好きな人を好きになったらいけなかったんです。人の旦那さんを好きになっちゃ……。だから美香ちゃんが私に罰を……」
「罰ではなく試練なのでは?」
思いもよらなかった言葉にハンカチから顔を上げると、相沢さんが微笑んだ。



