大嫌いの先にあるもの

「やっぱり今から黒須の行ったお店に行きましょう」

警察署を出ると、お願いするように相沢さんに言った。

「そうですね。私たちで捜してみましょう」

タクシーでウエストハリウッドまで移動し、相沢さんと一緒にカードにあったお店を回る事にした。

お店はクラブやバーだった。
黒須の事を聞くと、「見かけた」という情報が思ったよりも簡単に聞けた。黒須は毎日お店に顔を出し、デヴィッドの写真を見せて、居場所を聞いていたようだった。

デヴィッドを見つける事が出来れば、黒須も見つかるかもしれない。

淡い期待を抱え、七軒目のバーに行くと思いがけない情報があった。

「女と一緒に出て行ったよ。そういえば女に金を払っていたな」

バーのマスターに黒須の写真を見せるとそう言った。

「女かドラッグでも買ったのかと思ったよ。女はドラッグの売人でね、時々店に来るんだ」

ドラッグの売人……。
その言葉により一層心配になる。

「女の事を知っているんですか?」

相沢さんがマスターに質問した。