大嫌いの先にあるもの

黒須の部屋を見た後はロス市警に相沢さんと行った。

相沢さんが捜索願を出して二日経つのに、何も進展していないと、珍しく感情的に声を荒げ、刑事に詰め寄った。

「ミスター、落ち着いて下さい。今FBIも動く大きな事件が起きていて、人手が全部そっちに持って行かれてしまっているんです」

FBIという言葉に胸騒ぎがする。
まさか黒須はその大きな事件に巻き込まれたんじゃ……。

どうしよう。こうしている間にも黒須の身に何かあったら。
考えただけで、目の前が真っ暗になる。

なんでこんな事になってしまったんだろう。

美香ちゃんの事件を調べにこなければこんな事にはならなかったのに……。

美香ちゃん、黒須とつき合った私が許せないの?
美香ちゃんの方に黒須をつれて行こうとしているの?

もしそうならお願い。黒須の命だけは助けて。
代わりに私の命を差し出すから。

黒須と別れろと言うなら、別れるから。

どうか黒須の命だけは助けて下さい。