大嫌いの先にあるもの

「黒須はウエストハリウッドのバーとクラブを探していたと言っていました」
「捜すって……デヴィッドを?」

リムレス眼鏡の奥の瞳が頷いた。

「こんなに沢山行ったんですか?」

カードは20枚あった。

「片っ端から回ったんでしょう。そうだ、これを見て下さい」

相沢さんがスマホを出して、写真を表示した。

「黒須から送られて来たデヴィッドの写真です」

金のネックレスをつけた金髪の男が写っていた。
金髪の男は照れくさそうな笑みを浮かべていた。一緒に写っている可愛らしい女性に見覚えがある気がする。誰なんだろうか?

「この男を探していたんですか?」
「そうです。雇った探偵にもデヴィッドと黒須の写真を持たせて探させています」
「私たちも探しに行きましょう。きっとこのカードのお店で聞けば黒須の行方がわかります」
「立花さん、今日は休んで下さい。青白い顔をしていますよ」
「休んでなんかいられません。一刻も争う状態に黒須がいるかもしれないんですから」
 
何かの事件に巻き込まれ、生命の危機に陥っている黒須の姿がさっきから浮かんで仕方なかった。