大嫌いの先にあるもの

ナビによると車は砂漠の真ん中あたりを走っているらしい。辺りは真っ暗だった。店らしき物もないし、僕たちの車以外はない。そんな状況でキャサリンが突然、車を停車させろと言って来た。

「僕を殺して砂漠に埋めるのか?」
ずっとそんな事を考えながらロスから運転して来た。

「何の事?ちょっと休憩したくなったのよ」
「店もない場所でか」
「早く停めなよ」
そう言ってキャサリンはハンドバックから銃を取り出した。ワルサーP99だ。
やっぱりこんな事になるのか。

「人に銃は向けちゃダメだろ」
アクセルを目いっぱい踏み込んだ。車が急加速する。

「何、やってんの、あんた」
「僕を撃ったらキャサリンもただじゃすまないよ。いや、デヴィッドと呼んだ方がいいか」
沈黙が流れた。

「いつから気づいてた?」
キャサリンからデヴィッドに変身するように声が急に低くなる。