「朝まで僕と一緒にいてくれたら今日の事は水に流そう」

「えっ、朝まで……。だってあの、明日は大学が……。私、一限からあるし。黒須だってあるでしょ?」

「朝早く帰れば間に合うよ」

「でも、お、おばあちゃんが心配するから」

「じゃあ終電まで。あと二時間あればいろいろ出来る」

「い、いろいろって?」

いきなり黒須の唇が重なった。
柔らかな唇の感触にお腹の奥がキュンとする。
優しい触れあいから始まり、それから唇がゆっくりと開いて、口の中に舌が……。

舌で舌を絡め取られてさらにびっくり。

黒須がくれる感覚に頭の中がぼっーとして、身体が熱くなる。
前にも深いキスをした事があったけど、ここまで激しくはなかったし、優しくもなかった。

下腹部がじんわりと熱くなって、追い詰められていくような感覚は初めてで、どうしたらいいかわからない。

気づくとソファに横になった態勢で、黒須が覆いかぶさるようにキスをしている。

「黒須、もうっ、ダメ」

降参するように口にすると、ゆっくりと黒須が離れた。

「そのダメはもっとして欲しいって事?」

からかうような黒須の言葉に、いつもだったら食ってかかるけど、そんな気力もない。

「本当に、もう無理」

情けない事に涙ぐんでいた。
黒須が可笑しそうに笑って、最後に優しくおでこにキスしてくれた。