「もう九時過ぎだね」
黒須が壁時計を見ながら言った。
「それは帰れって事?」
「そうだね。明日から大学が始まるし、春音が寝坊したら困るからな」
「黒須は後期の講義、どれぐらい持つの?」
「前期と同じく月・水・金で講義があるよ」
「そうなんだ」
楽しみ。週3日でまた黒須に会える。
「春音、そう言えば僕の講義一つ落としたよね。三行しか解答書いてなかったやつ」
うわっ、忘れていた……。
「あの時は黒須が試験前にパーティーに連れて行くから。あれで試験の事すっかり頭から飛んじゃったんだからね」
「僕のせいだと言いたいのか?」
「全部とは言わないよ。勉強しなかった私が一番悪いから、責任は半分コかな」
黒須が瞬きをして、それから笑った。
「随分と大人な事が言えるようになったんだな。前だったら全部僕が悪いって怒っていそうだよ」
「少しは大人になったのよ」
黒須と目を合わせてクスクスとふざけるように笑い合った。幸福な気持ちで胸がいっぱいになる。軽い調子のやり取りが楽しい。
「春音、おいで」
缶ビールを大理石のテーブルに置くと、黒須が体の向きをこっちに向け、悪戯を企むように微笑んだ。
黒須が壁時計を見ながら言った。
「それは帰れって事?」
「そうだね。明日から大学が始まるし、春音が寝坊したら困るからな」
「黒須は後期の講義、どれぐらい持つの?」
「前期と同じく月・水・金で講義があるよ」
「そうなんだ」
楽しみ。週3日でまた黒須に会える。
「春音、そう言えば僕の講義一つ落としたよね。三行しか解答書いてなかったやつ」
うわっ、忘れていた……。
「あの時は黒須が試験前にパーティーに連れて行くから。あれで試験の事すっかり頭から飛んじゃったんだからね」
「僕のせいだと言いたいのか?」
「全部とは言わないよ。勉強しなかった私が一番悪いから、責任は半分コかな」
黒須が瞬きをして、それから笑った。
「随分と大人な事が言えるようになったんだな。前だったら全部僕が悪いって怒っていそうだよ」
「少しは大人になったのよ」
黒須と目を合わせてクスクスとふざけるように笑い合った。幸福な気持ちで胸がいっぱいになる。軽い調子のやり取りが楽しい。
「春音、おいで」
缶ビールを大理石のテーブルに置くと、黒須が体の向きをこっちに向け、悪戯を企むように微笑んだ。



