「僕の手料理で本当に良かったの?」
ダイニングテーブルに向かい合って座ると、黒須が白ワインを私のグラスに注ぎながら言った。
テーブルには天ぷら、茶わん蒸し、お刺身にお赤飯が並んでいる。どれも美味しそう。
「レストランより黒須の手料理が食べたかったの。すごいね。和食も作るんだ。一緒に住んでいた時はパスタが多かったけど」
「春音と両想いになったから、お祝い膳を作ったんだよ」
「お祝い膳……。そっか、だからお赤飯。なんか照れくさいね」
「そうだね。ちょっと照れくさい」
フフッと笑った黒須の笑顔が可愛い。つい胸がキュンってしちゃう。
「両想いに乾杯」
黒須がグラスを掲げた。
「乾杯」
ワイングラスを合わせて、白ワインを口にした。よく冷えていて美味しい。ワイン冷やしておいてくれたんだ。いろいろ考えてお料理とか用意してくれたんだろうな。
お見合いの事話すのはご飯の後がいいよね。せっかくのお祝い膳に水を差すような事はしたくないし。
「いただきます」
手を合わせて、お料理に手を伸ばす。
まずは大好物の茶碗蒸し。玉子のとろっとした感触に思わず頬が緩んじゃう。それにカツオだしと混ざって、柑橘類の香りがする。これは……ゆずだ。
「この茶わん蒸し、ゆずの風味がして美味しい!」
「仕上げにゆずの皮をすりおろして入れてあるんだよ」
「それでゆずのさわやかな風味がするんだね。エビの天ぷらはサクサクだ。しかもお店で出てくるみたいにエビ真っすぐだね」
「エビを下ごしらえする時に包丁で切れ込みをいれてあるから真っすぐになるんだよ」
「黒須って何でも知ってるんだね」
「そうでもないよ。エビの下処理の仕方はインターネットで調べたから。本当、便利な世の中だね」
種明かしをするように言った黒須が何だかおかしい。
声を上げて笑ってしまう。
黒須といるといつも楽しい。
お見合いの事を言ったら、この楽しい空気は壊れちゃうかな。それとも黒須、春音は心配し過ぎだよって、笑い飛ばしてくれるかな。
どうか、笑い話で済みますように。
ダイニングテーブルに向かい合って座ると、黒須が白ワインを私のグラスに注ぎながら言った。
テーブルには天ぷら、茶わん蒸し、お刺身にお赤飯が並んでいる。どれも美味しそう。
「レストランより黒須の手料理が食べたかったの。すごいね。和食も作るんだ。一緒に住んでいた時はパスタが多かったけど」
「春音と両想いになったから、お祝い膳を作ったんだよ」
「お祝い膳……。そっか、だからお赤飯。なんか照れくさいね」
「そうだね。ちょっと照れくさい」
フフッと笑った黒須の笑顔が可愛い。つい胸がキュンってしちゃう。
「両想いに乾杯」
黒須がグラスを掲げた。
「乾杯」
ワイングラスを合わせて、白ワインを口にした。よく冷えていて美味しい。ワイン冷やしておいてくれたんだ。いろいろ考えてお料理とか用意してくれたんだろうな。
お見合いの事話すのはご飯の後がいいよね。せっかくのお祝い膳に水を差すような事はしたくないし。
「いただきます」
手を合わせて、お料理に手を伸ばす。
まずは大好物の茶碗蒸し。玉子のとろっとした感触に思わず頬が緩んじゃう。それにカツオだしと混ざって、柑橘類の香りがする。これは……ゆずだ。
「この茶わん蒸し、ゆずの風味がして美味しい!」
「仕上げにゆずの皮をすりおろして入れてあるんだよ」
「それでゆずのさわやかな風味がするんだね。エビの天ぷらはサクサクだ。しかもお店で出てくるみたいにエビ真っすぐだね」
「エビを下ごしらえする時に包丁で切れ込みをいれてあるから真っすぐになるんだよ」
「黒須って何でも知ってるんだね」
「そうでもないよ。エビの下処理の仕方はインターネットで調べたから。本当、便利な世の中だね」
種明かしをするように言った黒須が何だかおかしい。
声を上げて笑ってしまう。
黒須といるといつも楽しい。
お見合いの事を言ったら、この楽しい空気は壊れちゃうかな。それとも黒須、春音は心配し過ぎだよって、笑い飛ばしてくれるかな。
どうか、笑い話で済みますように。



