「中途半端な事はダメですよ。春音さんが傷つきますから」

「中途半端って何だ?」

「自分の気持ちがよくわかっていないのに春音さんと体の関係を持ったりする事ですよ」

「か、体の関係なんか持つ訳ないだろ!そんな風に春音の事を見た事はない」

「キスをするまではそうだったかもしれませんが、これからはわかりませんよ。春音さんは魅力的な二十歳の女の子ですからね。春音さんと同じベッドで寝るような事はもうしない方がいいと思いますが」

確かに同じベッドで寝るのはもうしない方がいい。
何かの弾みで春音を襲ってしまったらマズイ。今夜だって春音が逃げ出さなかったら何をしていたかわからない。

「とにかく今、黒須がする事は自分の気持ちをよく考える事です。春音さんへの気持ちがハッキリするまでは触れてはいけませんよ」

釘をさすように相沢が言った。

その通りだ。春音の事をどう思っているのか、ちゃんと考えなければいけない。今、自分がすべき事がようやく見えた。