「どんな人って、普通の人だよ」
はははと笑って誤魔化した。
「ね、宮本さん」
「うん。普通のおじさんですよ」
「挨拶した方がいいかね」
「挨拶なんていらないよ。オーナーは忙しい人だから。今日はお店にいないし、ね、宮本さん」
「う、うん。そう。今夜はいらしてないんですよ。為替ディーラーの仕事が忙しいみたいで」
「為替ディーラー?」
おばあちゃんの目が鋭くなった。
マズイ。黒須が為替ディーラーをしていた事をおばあちゃんはよく知っている。
「おばあちゃん、為替ディーラーってわからないですか?」
あちゃ~宮本さん、またまた余計な事を。
「よく知っていますよ。外国の通貨を売ったり買ったりして儲ける仕事ですよね。春音の姉が結婚した男がそういう仕事をしておりましたから」
結婚した男……。黒須への怒りを感じる。
やっぱりまだおばあちゃん、黒須を憎んでいるんだ。
「へえー奇遇ですね」
アハハと宮本さんが渇いた笑い声を立てた。
墓穴を掘った事に気づいたみたい。
「えーと、僕はオーダーのカクテル作らなきゃ。おばあさん、ゆっくりしていって下さいね。春音ちゃん、今夜はおばあさんの相手をしてあげて」
宮本さんは逃げるようにカウンターの奥に引っ込んで行った。
逃げてくれて良かったかも。宮本さんいろいろ墓穴を掘るから。
さて、どうやっておばあちゃんを帰そう。
ステージではまだ黒須がピアノを弾いてる。
まあ、黙ってピアノを弾いているだけなら大丈夫かな。
ステージには黒須の他にタキシードのバンドマンが5人もいるし。
おばあちゃんの目にはただのバンドマンにしか見えないよね。
万が一黒須だと言われても、似ている人だと言って誤魔化そう。
おばあちゃんは黒須が日本にいる事知らないし。ニューヨークにいるはずの黒須がこんな所にいるなんて思わないよね。
「皆さま、お越し頂きありがとうございます。今夜は恋人たちに向けての甘いナンバーを中心に演奏したいと思います」
3曲目が終わって、愛理さんのMCが始まった。
「そして、そして、今夜の甘い夜を飾るピアノはなんと、Blue&Devilのオーナー黒須圭介が弾いております!」
えー!黒須圭介ってハッキリ言った!
「春音」
おばあちゃんが厳しい表情を浮かべた。
さすがにバレちゃった?
はははと笑って誤魔化した。
「ね、宮本さん」
「うん。普通のおじさんですよ」
「挨拶した方がいいかね」
「挨拶なんていらないよ。オーナーは忙しい人だから。今日はお店にいないし、ね、宮本さん」
「う、うん。そう。今夜はいらしてないんですよ。為替ディーラーの仕事が忙しいみたいで」
「為替ディーラー?」
おばあちゃんの目が鋭くなった。
マズイ。黒須が為替ディーラーをしていた事をおばあちゃんはよく知っている。
「おばあちゃん、為替ディーラーってわからないですか?」
あちゃ~宮本さん、またまた余計な事を。
「よく知っていますよ。外国の通貨を売ったり買ったりして儲ける仕事ですよね。春音の姉が結婚した男がそういう仕事をしておりましたから」
結婚した男……。黒須への怒りを感じる。
やっぱりまだおばあちゃん、黒須を憎んでいるんだ。
「へえー奇遇ですね」
アハハと宮本さんが渇いた笑い声を立てた。
墓穴を掘った事に気づいたみたい。
「えーと、僕はオーダーのカクテル作らなきゃ。おばあさん、ゆっくりしていって下さいね。春音ちゃん、今夜はおばあさんの相手をしてあげて」
宮本さんは逃げるようにカウンターの奥に引っ込んで行った。
逃げてくれて良かったかも。宮本さんいろいろ墓穴を掘るから。
さて、どうやっておばあちゃんを帰そう。
ステージではまだ黒須がピアノを弾いてる。
まあ、黙ってピアノを弾いているだけなら大丈夫かな。
ステージには黒須の他にタキシードのバンドマンが5人もいるし。
おばあちゃんの目にはただのバンドマンにしか見えないよね。
万が一黒須だと言われても、似ている人だと言って誤魔化そう。
おばあちゃんは黒須が日本にいる事知らないし。ニューヨークにいるはずの黒須がこんな所にいるなんて思わないよね。
「皆さま、お越し頂きありがとうございます。今夜は恋人たちに向けての甘いナンバーを中心に演奏したいと思います」
3曲目が終わって、愛理さんのMCが始まった。
「そして、そして、今夜の甘い夜を飾るピアノはなんと、Blue&Devilのオーナー黒須圭介が弾いております!」
えー!黒須圭介ってハッキリ言った!
「春音」
おばあちゃんが厳しい表情を浮かべた。
さすがにバレちゃった?



