大嫌いの先にあるもの

滝本さんが恋のお祝いに奢ってくれると言ってくれたので、食後にチョコレートパフェを頂いた。

出て来たのは、グラスの上にこんもりと乗ったチョコとバニラのアイスに、バナナと、生クリームにチョコソースがかかった定番のやつだった。

「きゃ、美味しそう。なんかパフェとか久しぶり」

チョコパに喜ぶ滝本さんが可愛い。

「私も久しぶりです」

「楽しいわね。この後がなければいいんだけど」

まだ仕事の途中だった。仕事の事を思い出してちょっとだけテンションが下がる。DVD屋の後はBlue&Devilもある。今日もバイト三昧だ。

「本当、このまま帰りたいですね」

滝本さんと顔を見合わせて笑った。

「それで、大嫌いだった元旦那さんのどんな所を好きになったの?」

「まだ恋バナするんですか?」

「これが楽しみなのよ。さあ、話してちょうだい」

「えーと、その……、なんというか、いつも私の事を見守っててくれる人なんです。どんなに私が冷たい態度を取っても見捨てる事がなくて。本当に困っている時は助けてくれるし、ちょっと過保護だなって思う所もあるんですけど、私の事、沢山心配してくれて。気づいたら一緒にいたいって思うようになっていて、その人の隣にいると楽しくて自然と笑っているんです」

話しながら黒須への想いが胸に溢れていく。
今気づいた。一緒に暮らす前よりも、黒須の事が大好きだ。