でもな……。

兄と妹は同じベッドで眠るんだろうか。

普通、大人になったら一緒に寝ないよね。しかも私たちは義理の兄妹だし。

絶対にこんなのはおかしいと思うんだけど……

「だって僕たちは兄妹で家族だろ。一緒に寝てなんの問題があるんだ?」

黒須にそう言われて、そうなのかなって思ってしまった。確かに美香ちゃんとは同じベッドで寝たりもしていたけど、同じ感覚でいいのかな。

それにしても最近の黒須は、かなり親し気というか、馴れ馴れしくしてくる。

スーパーに買い物に行った時なんて、春音が迷子にならないようにって、必ず手をつないでくるし、リビングでテレビを見ていたら、いきなり人の膝の上に寝転がるし……。

前はもう少し距離があったような……。

「春音ちゃん、聞いてる?」

滝本さんの声にハッとした。
今はDVD屋でバイト中だった。

「はい。何でしょうか」
「心ここにあらずって感じね」

滝本さんがふふっと柔らかく笑い、ドカッとカウンターの上に段ボールを置いた。段ボールの中には新作DVDが沢山入っている。今日は入荷日で忙しいんだった。

「春音ちゃん、これ登録お願いね」

滝本さん、笑顔だけどちょっと怒ってる。ぼんやりし過ぎた。しっかりしなきゃ。

「は、はい。すぐにやります!」