大嫌いの先にあるもの

目と目とが合って、しばらく見つめ合った後、黒須の端正な顔が近づいた。

物凄く自然に、唇が重なる。
そして唇はすぐに離れて、まだ熱い目をした黒須がいた。

「黒須、どうして……」

困ったように黒須が微笑んで、それからまた唇が重なった。
今度は長く……。

何が起きているの?
黒須が私にキスをしているんなんて。

これは夢?

そう思った時、アラームの音がした。
やっぱり夢なのか……。

もう少しこの夢を見ていたい。

こんなに甘い黒須、初めてだから。

もう少しだけ……。

「春音、起きなくていいの?」

すぐ側で黒須の声がした。その声に驚いて目を開けた。