「こちらは今、当店で一番人気のフランス製の電動ベッドになります。リモコン一つでベッドの背上げ、脚上げ、高さ調節が簡単にできて、快適な姿勢を作る事ができるようになっております。マットレスも最高級の物を使っておりますから、寝心地が快適なんですよ」

電動ベッド……。いや、いらないし。

「それは便利だ」

黒須がいきなりベッドに寝転がって、リモコンを操作し始めた。
背上げ、脚上げ、高さ調節機能の全部を楽しそうに試している。

「動きがスムーズでいいね。モーターの音も静かだし、寝心地もいい。春音も試してみなよ」

黒須がベッドに横になったままこっちを見た。

「ベッドなんかいらないってば」

「そう言わず、寝てみなよ」

黒須が私の腕を引っ張った。黒須の隣に眠るような恰好でベッドに倒れた。

「いきなり何するの?」

黒須の方を見ると、キスが出来ちゃうぐらいの近さに顔がある。

「きゃっ!」

驚いて起き上がった。

心臓がバクバクしてる。
顔も熱い。

「春音?」

黒須の手が肩に触れた途端、心臓が飛び出そうになる。

「黒須のバカ」

居たたまれなくて、その場から逃げ出した。