黒須に連れて来られたのは高そうな家具が並ぶインテリアショップ。店に入った瞬間、鏡に映った自分の姿に絶句した。
上はよれよれの黄色Tシャツだし、下は高校で使っていた赤ジャージだ。
しかも伊達眼鏡もかけ忘れている。
うそ……。
ずっとこんな格好だったの?
そういえば今朝、管理会社のおじさんに起こされてから着替えた記憶がない。
引っ越しでバタバタだったから、顔も洗ってないし、歯磨きもしていない。
人として終わってる。
「春音、どうした?」
黒須がこっちを見た。
いや、見ないで。
思わず両腕で顔を隠す。
「こっちを見ないで。酷い格好だから」
「酷い格好?ああ、そうか。店を間違えたな。出よう」
黒須がまた私の腕を強引に掴んで、来た道を引き返した。
外に出ると同じ通りにあるレディースファッションのブランド店に入った。
店内はお洒落な服装の綺麗な女性ばかり……。
視線が痛い。お洒落人が沢山いるお店に連れて来るなんて、黒須の意地悪。
まださっきのお店の方がましだった。
逃げたくても、黒須ががっしりと腕を掴んでるから逃げられない。
「うーん、春音は色白だからやっぱりピンクがいいな」
黒須がハンガーラックにかかっているワンピースを物色し始める。
「これがいい」
黒須が選んだのはウェストのリボンが印象的なピンクシフォンの品のいいワンピだった。
まさかこれを着ろって言うの?
ワンピを睨んでいると、黒須が店員に声をかけた。
「このワンピースに似合うコーディネートをこの子の頭から爪先までして欲しいんだ」
「トータルコーディネートですね。かしこまりました」
30代ぐらいの店員さんがそう言って、私に微笑んだ。
トータルコーディネートって何?
上はよれよれの黄色Tシャツだし、下は高校で使っていた赤ジャージだ。
しかも伊達眼鏡もかけ忘れている。
うそ……。
ずっとこんな格好だったの?
そういえば今朝、管理会社のおじさんに起こされてから着替えた記憶がない。
引っ越しでバタバタだったから、顔も洗ってないし、歯磨きもしていない。
人として終わってる。
「春音、どうした?」
黒須がこっちを見た。
いや、見ないで。
思わず両腕で顔を隠す。
「こっちを見ないで。酷い格好だから」
「酷い格好?ああ、そうか。店を間違えたな。出よう」
黒須がまた私の腕を強引に掴んで、来た道を引き返した。
外に出ると同じ通りにあるレディースファッションのブランド店に入った。
店内はお洒落な服装の綺麗な女性ばかり……。
視線が痛い。お洒落人が沢山いるお店に連れて来るなんて、黒須の意地悪。
まださっきのお店の方がましだった。
逃げたくても、黒須ががっしりと腕を掴んでるから逃げられない。
「うーん、春音は色白だからやっぱりピンクがいいな」
黒須がハンガーラックにかかっているワンピースを物色し始める。
「これがいい」
黒須が選んだのはウェストのリボンが印象的なピンクシフォンの品のいいワンピだった。
まさかこれを着ろって言うの?
ワンピを睨んでいると、黒須が店員に声をかけた。
「このワンピースに似合うコーディネートをこの子の頭から爪先までして欲しいんだ」
「トータルコーディネートですね。かしこまりました」
30代ぐらいの店員さんがそう言って、私に微笑んだ。
トータルコーディネートって何?



