大嫌いの先にあるもの

アパートの駐車場には引っ越しのトラックが停まっていた。その中に私の部屋にあった冷蔵庫とか、洗濯機とか、布団とかが引っ越し屋さんの手で積まれていく。

まさか引っ越しのトラックまで用意されているなんて。
もう抵抗する気力もない。

私は言われるまま荷造りをして、引っ越しのトラックに乗った。
一体どこに連れて行かれるんだろう。

そういえば『ドナドナ』って歌があったよね。
子牛が市場に連れて行かれる歌だ。
今の私は売られていく子牛みたい。

楽しい牧場にはもう帰れないんだな。

ぼんやりと外を眺めていると東京タワーが見えた。Blue&Devilに行く時によく見かけるようになった。黒須の部屋からはよく見えるんだよね。

そんな事を思っていたら、景色がどんどん見慣れたものになっていく。

あれ?

ここって六本木?

Blue&Devilがある近所だよね。

そう思っていたら、Blue&Devilが入っているビルの前にトラックが停まった。