大嫌いの先にあるもの

アパートに私はまだ居続ける事ができる。不動産屋さんのその言葉に安心しきって月曜日の朝はだらだらと寝ていた。

夜シフトだったので寝たのは午前2時過ぎだった。
今日は夜にBlue＆Devilがあるだけだから、午前中は寝ていようと決めていた。

布団の中にいると、トラックがアパートの前を通る騒がしい気配を何となく感じた。それから男性の声。金属の音。そしてインターホンの音。

布団を頭から被って音を遮断すると、さらに激しくドアを叩く音がした。さすがに目が覚めた。

朝から一体何？今日は昼まで寝てるんだから、起こさないでよ。
半分寝ぼけた頭で、ドアを開けるとこの間来た管理会社のおじさんだった。

「立花さん、すぐに出て下さい。解体作業が始まります」

何言ってんの？私は同意してないんだから。

「出ませんよ。引っ越し先がまだ決まっていないんですから。それに私は解体に同意していませんから、解体作業はできないはずです」

おじさんがなぜか笑みを浮かべた。

「同意ならなさってますよ」

おじさんは書類を見せた。その書類には期日までに異議申し立てがない場合は同意したものとするとあった。そしてその期日は二ヶ月前にとっくに過ぎていた。

何これ……。