トントントントン。

朝、ノックの音で目が覚める。

えっ⁉︎今何時?
驚いてサラは飛び起きる。

「は、はい。どなたですか?」

カイル様だったらどうしょう。
サラは慌ててガウンを羽織り髪を整える。

「おはようございます。
サラお嬢様、マリーです。
居ても立っても居られず、昨夜城下に到着して、今朝早く宿を出て来てしまいました。」

「あ…マリーさん、良かった。
カイル様だと思ったから慌ててしまいました…」
そう言って、内鍵を外して中に通す。

「申し訳ございません。
晩餐会の支度をしたくて早く来てしまいました。起こしてしまいましたか?」

「丁度起こしてくれて助かったわ。
カイル様と朝、ハクのご飯をあげに行く約束をしていたから、寝坊したかと思って焦ってしまいました。」

「まぁ、朝からデートとは仲がよろしいようで、安心しました。」
マリーはにこにこと嬉しそうに話し、サラの髪を整える為支度に入る。

「マリーさん、わざわざ来てくれてありがとう。道中慌ただしかったでしょう?」

「久しぶりに街の外に出たので、気分はまるで旅行です。私達も楽しんでいますから、気にしないで下さいね。」
ニコリとサラに笑いかけ、櫛で髪を梳かしてくれる。
「ところでカンナさんは何処に?」

「今、ご主人様の所へスケジュールの確認に行っています。もうすぐ来ますよ。」

「カイル様はもう、起きているんですか?」

「ええ、先ほど挨拶に行ってきました。
もう、身なりも整えておいでてましたよ。」

「えっ⁉︎急がないと…。」
サラは慌てて、ドレスを着替える為にクローゼットを開く。

中を見て固まる。
「えっ⁉︎
見た事のない服ばかりなんですけど⁉︎」

「ええ、滞在の為のドレスをご主人様が買い揃えたみたいですよ?」
クローゼットいっぱいのドレスを見て唖然とする。
「何日滞在するつもりなんでしょうか…」