神菜……良い名前だしな。

 ……って、居座ってしまったがそろそろ帰ったほうが良いだろう。

 俺はそう思い、おもむろに立ち上がって神菜に言った。

「そろそろ、帰るな。」

「……っ、はい……。お話、聞いてくれてありがとうございましたっ……。」

 ……もしかして、まださっきの暗闇が怖いのか?

 確かこの前も、少しの時間だったのに異常なほど怯えていたし相当怖かったんだろう。

 それにあの倉庫にしばらくいたとなれば、不安になるのも当然だ。

 俺はそう思い、もう少しだけ神菜の隣にいることにした。

「まだ怖いんだろ?ほら、こうしてやるから落ち着け。」

「……新さん、どこまで私の事分かってくれているんですか。」

 神菜はそんなことを呟きながら、俺に大人しく頭を撫でられていた。

 ……理性、使い物にならなくなりそうだな。

 一瞬だけそう考えてしまったが、神菜の怖がることはしたくない。

 俺は強く抱きしめてしまいたい衝動を我慢しながら、神菜の頭をよしよしと撫でていた。