「誰か観心君に声かけてきなよ!」

「そんなの無理だって!それにしても、あんなにかっこいいとは思ってなかった!」

「観心君も推しになりそ~!」

 ……本当に、おかしい。

 どうして生き物って見た目で人を判断するんだろう。

 今まで顔をこのフードで隠してきたけど、試合の途中に取れてしまった。

 だから隠してきた顔を全校生徒に晒してしまい、今めちゃくちゃ死にたい。

 昔はこの顔でいじめられもしてたから、余計に。

「明李、お前面倒な事になってんな。」

「ん、そうだね。正直言ってめちゃくちゃだるいよ。」

「分かる、それ。」

 疾風も困ったように笑い、大きなため息を吐いている。

 今日疾風と和向は本気でプレーするために髪をセットしていて、いつもとは雰囲気が違う。

 それもこれも、事の発端は新さんの言葉。

《絶対に何があってもZenithには勝利を譲るな。》

 そんな通達がAnarchy会員全員に送られ、今に至ってる。

 Anarchy会員はみんな新さんのことを尊敬し信頼しているから、今日はみんながみんな本気だ。