私も慌てて皐月君に意識を向けると、確かに少しだけ力を抜いているように見えた。

 動きは完璧だけど、手加減してるような……。

 だけどどうして、手加減しているんだろう……?

 そんな疑問が一瞬だけ脳裏をよぎったけど、すぐにある考えに行きつく。

 もしかして、体調があんまり良くないとか……?

 体調が優れなかったら確かに力も抜けちゃうし、試合に集中できない。

「めいちゃん、皐月君ってもしかして体調良くないの?」

「え?ううん、今日はいつも通りだけど……。」

 念の為めいちゃんにそう尋ねてみるけど、あっさりとそんな返しが来た。

 い、いつも通りだったら、ど、どうしてだろう……?

 私の理解力がないだけかもしれないけど、頭がこんがらがってしまった。

 その内に試合は更に加速していき、二人とも点をたくさん稼いでいる。

 相手を潜り抜けて積極的に点を集めていて、観客席からの声もまた上がってきていた。

 ほ、本当に凄いっ……。

 そうやって見惚れていると、試合終了の合図が辺りに鳴り響いた。