……遂に、来てしまった。

　今日は球技大会で、学校内は今までにないくらい賑やかになっている。

「新さん、球技大会楽しみですねっ！」

「あぁ、そうだな。」

　今は新さんと学校に向かっている最中で、とてつもなくわくわくとしている。

　月魔城学園に来てから、初めての学校行事だからそれも相まってテンションが上がっていた。

　ふふっ、球技大会ってどんな感じなんだろうっ。

　中学でもまともに学校生活を謳歌できなかった私にとって、球技大会がどんなものなのか想像がつかない。

「神菜、そんなに楽しみなのか？」

「もちろんですっ！この学園に来てから初めてのイベントなので、すっごく楽しみですっ！」

　だけど、はしゃぎすぎだよね……あはは。

　私はふっとそう思い、ドキドキと鳴りやまない心臓を落ち着かせるためにふぅ……と小さく息を吐く。

　それでもやっぱり、楽しみな気持ちは消えなくて意味を成してくれなかった。

「……あー、可愛すぎる。」

「？」

　さっき、新さんの声が聞こえた気がするけど……何て言ったんだろう？