その時、私の頭に新さんの手がポンッと乗った。

「大丈夫だ。何かあればすぐに俺に連絡しろ。分かったな?」

「……は、はいっ。」

 新さんはそのまま私の頭をよしよしと撫でてくれ、その後別れた。

 教室までの道のりを歩いて、ふぅ……と無意識に息を吐く。

 私って、意外と馬鹿なのかもしれないなぁ……。

 あんなにあっさりとバレてしまったし、すぐに泣いてしまうし……結局何も変わってないや。

 魔術師になってから何か変わったと思っていたけど、私はあの時のまま。

「神菜っ!」

「へっ?来栖さん?」

 そう考えて落ち込みかけた時、背後から来栖さんの声が聞こえた。

 反射的に振り返ると、こっちに向かってきている来栖さんの姿を捉えることができた。

 急いできたのか、来栖さんは肩を上下させて息を整えている。

「く、来栖さん?どうかされましたか……?」

 どうして呼び止められたのかが分からず、瞬きを何度も繰り返す。

 どうしたんだろう、来栖さん。

 そう尋ねてみると来栖さんは少し言いにくそうにしながら、ぽつりとある事を呟いた。