「新さん、頑張ってくださいっ!」

 今朝も神菜の可愛い声を聞いてから、Anarchy室に向かおうと踵を返す。

 その瞬間、俺はおもむろに意味もなくため息を吐きだした。

 昨日から、嫌な胸騒ぎがしてならない。

 それが神菜に関する事だから、余計に落ち着きがなくなってしまう。

 気をつけろとは言ったが、この学園では何が起こるか全く予想ができない。

 教室では疾風たちがいるから大丈夫だとは思うが、気が気じゃなかった。

 本当は俺が傍にいて、神菜を守ってやりたい。

 だが必要以上に神菜の傍にいるのはどうかと思うし、神菜の学園生活を邪魔したくない。

 魔術師だと聞かされた時は本当に驚いたが、それ以上に神菜を大事にしてやりたかった。

 魔術師の仕事で来ている事ならば、いつまでここにいられるのかも分からないだろう。

 だからあいつには……今を楽しんでほしい。

 偽善みたいに見えるが、それほどまでに俺はあいつを愛してやまないんだ。

「まぁ……対策だけはしておくか。」

 俺はAnarchy所属の奴ら全員に通達を送り、神菜の周りに警戒しろと伝える。