うんっ、これくらいで良いかな。

 本当はウィッグの中にも滲みてしまっているから取ってしまいたかったけど、流石にそこまではできない。

 もし誰かに見られたら、それこそ一大事だし……。

 ぼんやりとそう思いって、眼鏡を再度かけようとポケットの中から出した……その時。

「……え?かん、な……?」

「……っ、来栖さんっ……!?」

 なんと、不意に扉から姿を見せた来栖さんにも――正体がばれてしまった。